(※2)税制適格の主な要件として以下を満たす必要があります。
・権利付与対象者が次のいずれかに該当する者(一定の大口株主及びその特別関係者を除く)
⇒自社の取締役、執行役又は使用人(およびその相続人)
⇒発行株式総数の50%超を直接又は間接に保有する法人の取締役、執行役又は使用人(およびその相続人)・
付与決議の日後2年を経過した日からその付与決議の日後10年を経過するまでの間に権利行使を行わなけれ
ばならない
・権利行使価額の年間の合計額は1,200万円を超えない
・無償発行であり、譲渡が禁止されていること
・1株当たりの権利行使価額が、その付与契約締結時におけるその株式の1株当たりの価額相当額以上であること
・取得した株式は証券業者等に保管委託又は管理信託がされていること
ストックオプションの権利行使時・失効時の会計処理
ストックオプションとは、会社が役員や従業員に対し、あらかじめ定められた一定の価格で自社の株式を取得できる権利(新株予約権)を与える制度をいいます。
ストックオプションは役員や従業員の業績に応じた労働の対価としての性格を有するものであり、会計上は給与の一形態として費用計上することになります。
ストックオプションでは、業績や勤務状況など一定の条件を満たすことが権利行使のための条件となっている場合が多く、この条件を満たす日を権利確定日といいます。権利行使は権利確定日以降おこなうことができます。
ストックオプションの会計処理のポイントは、権利確定日の前後において以下のとおりです(企業会計基準第8号 ストック・オプション等に関する会計基準(以下、ストックオプション会計基準)第4項以下参照)。
内容 | 参照ページ | |
権利確定日前 | ストックオプションの公正な評価額を権利付与日から権利確定日までの対象勤務期間において期間按分します。期間按分された金額は、各期の費用として『株式報酬費用』勘定で処理し、相手勘定は『新株予約権』(純資産)として処理します。 | 権利確定日前の会計処理 |
権利確定日 | 権利確定日においては、ストック・オプション数を権利の確定したストック・オプション数と一致させます。これによりストック・オプション数を修正した場合には、修正後のストック・オプション数に基づくストック・オプションの公正な評価額に基づき、権利確定日までに費用として計上すべき額と、これまでに計上した額との差額を権利確定日の属する期の損益として計上します。 | 権利確定日の会計処理 |
権利確定日後 | 権利行使がなされた時は、権利行使分に対応する新株予約権を資本金等に振り替えます。権利行使がなされなかった部分に対応する新株予約権については、失効が確定した期の利益として計上します。 | このページの下部参照 |
権利確定後において、ストック・オプションが権利行使され、これに対して新株を発行した場合には、新株予約権として計上した額のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替えます。
また、新株予約権の行使に対し、自己株式を譲渡(処分)した場合には、自己株式の取得原価(帳簿価額)と、新株予約権の帳簿価額及び権利行使に伴う払込金額の合計額との差額は、自己株式処分差額として処理します。
ストックオプションの権利不行使による失効が生じた場合には、新株予約権として計上した額のうち、当該失効に対応する部分を『新株予約権戻入益』(特別利益)として処理します(ストックオプション会計基準第8項・第9項参照)。
(具体例1-ストックオプション・権利確定日後)
(ストックオプションの条件)
・役員及び従業員30人に対し、1人当たり10個(合計300個)のストックオプションを付与
・ストックオプション1個当たり10株の交付が受けられる。
・権利行使価額は1株当たり100円
・ストックオプションの公正な評価単価は1個あたり50円
・権利確定日は×3年6月30日
・権利行使期間は×3年7月1日から×5年6月30日まで
・権利確定日までの失効見込(退職者見込数は当初0人であったが、×3年3月末時点において1人に修正する) ストックオプション会計
・権利確定日までの期間における実際の退職者は2人であった。
行使されたストックオプションに対する新株予約権:50円×100個=5,000円
権利行使に際し払い込まれた金額:100円×10株×100個=100,000円
増加資本金:5,000円+100,000円=105,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 100,000 | 資本金 | 105,000 |
新株予約権 | 5,000 | - | - |
(計算過程-新株発行分)
行使されたストックオプションに対する新株予約権:50円×50個=2,500円
権利行使に際し払い込まれた金額:100円×10株×50個=50,000円
増加資本金:2,500円+50,000円=52,500円
(計算過程-自己株式処分分)
行使されたストックオプションに対する新株予約権:50円×50個=2,500円
権利行使に際し払い込まれた金額:100円×10株×50個=50,000円
自己株式処分差額:2,500円+50,000円-48,000=4,500円(自己株式処分差益)
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